乳がんや前立線がんなど、がん治療に使われる『放射線治療』ですがその安全性や仕組みを知っている人は意外と少ないものです。
そもそも放射線治療と放射線とは?
ここでは、治療に関係する情報のみわかりやすく説明したいと思います。
・放射線とは
一般的に治療において放射線というと、体の原子・分子にエネルギーを与えるものです。
放射線の正体は、物質粒子である(イオン・電子・中性子・陽子・中間子などの粒子放射線)と高エネルギーの電磁波(ガンマ線、X線のことで電磁放射線)をまとめて総称として使っています。
例えるなら、タバスコ・カラシ・一味唐辛子などを、香辛料と言いますが、その香辛料に当たるのが放射線です。
放射線はエネルギーを与えるが人体には有害
基本的には強度(量)にもよるものの、有害とされています。そのため、使用量と頻度については各国で厳格な管理がされています。
有害であればなぜ治療に使うのか。
先ほどの例で例えるなら、香辛料は体に刺激を与えることで、体を内側から温めたり、目を覚ましたりしますよね。
ただ、いきなり多量の摂取をすると体に逆効果でお腹を下したり、胃が荒れたりします。それと似た感覚で理解しておくと分かりやすいと思います。
放射線治療をがん治療に使う理由
手術への影響や、感染などの可能性が無い。また抗癌剤など化学物質による毒性に対しての心配がいらない。
という観点で治療に使われています。
がん自体は細胞単体での病気であり、細胞自体が悪性となり原因となる病気です。ですから、その細胞自体のエネルギーを高める治療ということになります。
手術では、実際の肉体への負担も大きいですが、放射線治療の場合、物理的なダメージがなく少量での治療であれば有害性が低いということで使用されています。
放射線治療のデメリットは何か
照射する部位にも異なりますが、以下の副作用が見られることが多いです。
・疲労感、だるさ
疲れやすい・だるい・気力が出ない、等の症状
・食欲不振
腸に放射線が当たることによる直接的な影響だけでなく、がんの治療に対するストレスも関係
皮膚が日焼けの時の用に赤くなる・乾燥・かゆみ・痛みの発生
頭部への放射線治療により、頭皮の荒れや一時的な脱毛の発生
・吐き気
腹部への放射線治療により胃や腸管の粘膜が荒れてしまい吐き気を感じる場合、頭部への放射線治療で吐き気を感じる場合も
・下痢
腸への照射によって腸が荒れてしまうことで、下痢になることも
・口の渇き・口内炎
口内炎が増えたり、口の下に放射線線が当たる治療で粘膜が荒れ、乾き・水が飲みにくいという症状の発生
基本的に放射線治療の場合、粘膜と皮膚に副作用が出ることが多く一時的な症状であること、そして具体的な対策が考えられているものが多いです。
どんな病気で放射線治療をするのか
・がん
・リンパ腫・白血病・肉腫・脳腫瘍などに対する治療
・甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
他には
ガンマナイフ(定位的放射線外科治療)を使用し治療する場合も放射線治療に組まれます。
悪性・良性腫瘍、三叉神経痛・脳動静脈奇形にたいしての治療としても使われています。