「iDeco」は老後資産をつくるために任意で加入することができる制度です。今や人生100年と言われ、老後に必要なお金はなんと2,000万円。今回は、初心者の方に向けてiDecoの特徴やメリット・デメリットなどをかんたんに解説していきます。老後資産づくりについて考えている方の参考になれば幸いです。
iDeco とは
iDeco(イデコ)とは「個人型確定拠出年金」と呼ばれる、公的年金とは別の「私的年金制度」です。2001年に成立した「確定拠出年金法」によって設けられた制度で、2016年にiDecoという名称が付けられました。成立には景気悪化や年金額減少などの背景があり、自営業や企業年金が受け取れない方への救済措置として導入されています。iDecoは国民年金や厚生年金などに上乗せして受給することができますが、加入は任意であるため公的年金とは異なるのが特徴です。
iDecoに加入できる人は?
iDecoは「20歳以上65歳未満」の加入対象者であれば加入できます。2022年5月からは上限が60歳未満から65歳未満に引き上げられました。
加入対象者
- 国民年金「第1号被保険者」:自営業者・フリーランス・学生など(日本国内に居住の20歳以上65歳未満)
- 国民年金「第2号被保険者」:会社員・公務員など(厚生年金の被保険者、65歳未満)
- 国民年金「第3号被保険者」:厚生年金加入者の被扶養配偶者(20歳以上65歳未満)
加入できない対象者
- 国民年金「第1号被保険者」:農業年金の被保険者・国民年金の保険料納付を免除している者
- 国民年金「第2号被保険者」:企業年金に加入している者(企業でiDecoの加入が認められていない場合)
iDecoの掛金額はいくらから?
iDecoは月額5,000円(区分による上限まで+1,000円ずつ設定可能)から始めることができる投資です。運用は「投資信託」「元本確保型商品」の2種類から選択でき、掛金は非課税で運用されて60歳以降にお金を受け取れるという仕組みになっています。投資商品は金融機関によって異なりますが、iDecoは運用結果で受給額が変動するため元本割れのリスクが存在します。運用は自己責任であるということを念頭に置いておいてください。
投資商品の特徴
- 投資信託:ハイリターンだが元本割れリスクあり
- 元本確保型商品:元本割れリスクはないがローリターン
掛金上限額
- 第1号被保険者:月額6.8万円(年81.6万円/*国民年金基金または国民年金付加保険料との合算枠)
- 第2号被保険者「企業年金なし」:月額2.3万円(年27.6万円)
- 第2号被保険者「企業型DCのみ」:月額2.0万円(年24.0万円)
- 第2号被保険者「DBのみ・DBと企業型DC・公務員など」:月額1.2万円(年14.4万円)
- 第3号被保険者「専業主婦(夫)」:月額2.3万円(年27.6万円)
iDecoのメリットは?
1. 所得税・住民税が軽減される
iDecoの掛金は全額「所得控除」の対象となるため、所得税・住民税が軽減されます。確定申告または年末調整を行い「小規模企業共済等掛金控除証明書」を提出して還付を受けることが可能です。
2. 運用益が非課税になる
iDecoは利息や分配金などの運用益にかかる「20.315%」の税金が全て非課税です。「積立NISA」は加入年齢の上限がありませんが、非課税期間は20年間の限定となっています。そのため、利益を効率よく増やせるiDeco おすすめと言えるでしょう。
3. 受け取る際に税制優遇がある
60歳以降に老齢給付金として受け取る際、税制優遇によって税負担が軽減されます。一括や分割で受け取りの場合も、「退職所得控除」「公的年金等控除」といった税制優遇を受けられます。ただし、一定額以上は受け取り時に別途課税となるため注意が必要です。
iDecoのデメリット
1. 60歳まで引き出しができない
iDecoで積み立てたお金は60歳になるまで引き出すことができません。途中で大きな出費が予想される場合はよく考えてから加入しましょう。
2. 途中で解約できない
iDecoは途中で解約することができなくなっています。加入者が死亡したり高度障がい者になった場合は途中解約が可能ですが、原則解約はできないものと考えましょう。
3. 手数料がかかる
iDecoには各種手数料が発生します。以下の手数料を「国民年金基金連合会」に支払う必要があります。
- 加入・移管時手数料(初回のみ)
- 加入者手数料(納付ごとに)
- 還付手数料(還付ごとに)
おわりに
今回は、iDecoの初心者向けガイドとしてかんたんに解説してきました。iDecoのメリットとデメリットをよく確認し、自分に合った運用方法で老後の資産づくりを行いましょう。